03/09/2026
今日の一枚
『英雄(Eroica)』
Urania Records の URLP 7095、フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル
戦後アメリカのクラシック録音史の中でも特異な存在。
聴くと、古い録音だということもあるけど、妙な緊張感が室内を包む。それは、この楽曲は、ベートーベンがナポレオンに献呈する予定だったけど、「ナポレオンが皇帝に即位する!?」と聞いた彼は激怒したのだという話だ。
この楽曲は権力者に、ではなく、人間の英雄性 を讃えるものだということだ。
そう思って聞くと
これがまだ沁みる。
少し調べるとこのUrania Records はニューヨークの独立系レーベルで、1950年代にヨーロッパ録音をアメリカ市場向けにプレスして発売していたのだそう。
この『Eroica』は、フルトヴェングラーが1944年にウィーンで録音した音源を、戦後にアメリカでライセンス発売したもの。
つまり、戦時下のウィーン録音が、戦後アメリカで「復活」した盤なのだ。
当時のアメリカでは、まあドイツ人のフルトヴェングラーは政治的に微妙だったようだっけど、Uraniaは芸術的価値を優先して発売したのだそう。
ひとりで静かに聞いている。あれだけの戦時下で、こんな演奏ができたのだろうか、という文化的な側面に驚くよ。