03/09/2026
【日比谷公園の芝生】
東京都公文書館のお隣は都立武蔵国分寺公園。陽気のいい日には大きな芝生広場でゴロンと横になってみたい気にもなりますが、こうも暑くてはそれどころではありません、残念。そんなことを思いつつ、今回は「日比谷公園芝生地開放ノ件」という東京市の文書を紹介します。ここでいう「芝生地」は、祝田橋交差点に近い現在の「草地広場」あたりを指しています。
明治38年(1905)4月24日、日比谷公園監督・白石信栄が東京市に「芝生地一面是迄芝培養中公衆ノ出入ヲ禁シ置候処、最早芝蔓生候ニ付、該所周囲八ケ所ニ別紙掲示札ヲ建テ五月一日ヨリ公衆ヲシテ出入セシメ度候」と報告しています(ちなみに「監督」とは日比谷公園の管理を統括した東京市の職員です)。日比谷公園の開園は明治36年6月1日ですが、それからしばらくの間は芝の生育を待ちながら、芝生地を立ち入り禁止にしていたようです。その甲斐あって芝生がよく広がり育ったのでしょう。白石は、芝生地の周囲8か所に「下駄、足駄ノ侭此内ヘ入ルベカラズ」と書いた掲示札を立て、5月1日から開放したいと伝えています。足駄(あしだ)は下駄よりもさらに歯の高い履物で、これらが芝を剥がさないよう禁止されました。これが東京市で認められ、芝生地が開放されることになりました。開園から2年近くの期間を経て、ようやく日比谷公園の芝生地は立ち入り禁止を解かれて憩いの場になったのです。
ところが、いよいよ日比谷公園も仕上がってきたなと思いきや、5月20日に白石から「芝生地全部開放以来僅ニ十九日間ノ日数ニ過ザルニ被害甚敷、従テ全部同時ニ修繕ヲ要シ」という報告が東京市に届きます。なんと、芝生地の開放からわずか19日間で全体的な修繕を必要とするほど芝生が荒れてしまったとのこと…。かといって、再び立ち入り禁止にしては来園者が休憩場所を失ってしまうので、しばらく芝生地を南北に二分割して交互に使用と修繕をするということになりました。開園当初から東京名所のひとつとして知られてきましたが、実はこうした芝生地づくりの試行錯誤が続いていたのです。
そういえば、日比谷公園の芝生といえば帝国ホテル側の一角で「芝庭広場」が2024年9月にオープンしました。ここでも毎年6月は全面的な芝生の養生期間とし、それ以外の時期も広場を3分割して養生区画のローテーションをしています。公園がいつまでも開かれた場所であり続けるために、今も昔も様々な工夫と取り組みが続けられています。
所蔵資料の件名と詳細情報(検索情報システムのURL)
・「日比谷公園芝生地開放の件」明治38年(1905)4月 請求番号:602.C4.16
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_04&pkey=523996
・「日比谷公園芝生地一半芝培養の件」明治38年(1905)5月 請求番号:602.C4.16
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_04&pkey=523997
・「日比谷公園」昭和6年(1931) 請求番号:市刊D345
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_07&pkey=000524834
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